弁護士になって3年目位でしょうか。東京高裁まで争うことになった、骨のある離婚事件を担 当しました。骨があるといいましたが、事件自体が法律上の難しい争点が一杯で骨があったという意味ではありません。
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大方の離婚事件は、調停あるいは調停以前の話し合いで解決されますから。
その事件は、離婚原因として、民法に列挙された不貞等の明確な離婚原因はなく、破綻を理由とするものでした。元々離婚事件には、法律上の難しい争点になるような論点は殆どないのですが、この事件でも、一審の地裁で、担当裁判官から、「この事件で争点といえる争点がありますか?」と嫌みを言われたのを良く覚えています。
そのときの相手の弁護士さんが唖然としていたのも印象的でした。何せ、その弁護士先生は、自分の顧問先の元部長さんの代理をしていたこともあって(つまり顧問先の部長さんが妻に訴えられたのです)、法廷でも、尋問のときなど大げさと思えるほどの身振りをしながら、自分の依頼者が夫として如何に誠実であったかを力説していたのですが、その挙げ句、尋問が終わった口頭弁論期日で、「本件の争点は・・・・」と今後の手続きに関する意見を述べたところ、裁判官から「この事件で争点といえる程の争点がありますか?」と嫌みを言われた訳ですから、唖然とするのも当然でした。
さすがにそのとき、同じ法廷に立っていた私は、同じ弁護士として、依頼者の前でそこまで露骨に言われては気の毒だと同情しました。が、冷静に考えると裁判官の言うことも、確かにそのとおりで、離婚事件一般に言えることですが、法律上の難しい論点・争点を巡って主張を闘わせるというよりも、むしろ当事者のプライベートな生活歴など、生々しい事実が慰謝料や財産分与の前提事実として審理の対象になるという意味で、法的判断のプロである裁判官には、好きな事件だと感じる人は少ないかもしれません。
この事件でもう一つ印象に残った事がありました。それは夫が、医師の診断書を証拠として何通も提出して、自分には内臓の病気に罹患している上、腰のヘルニアからくる腰痛で杖がなければ歩けない状態であるとして、同情を誘おうとしてましたが、そして、実際、尋問期日当日も、杖歩行で出廷したのですが、休憩が入り、そろそろ法廷に戻って来る頃かなと私が法廷の扉を開けて廊下を見渡したところ、何と、杖なしでは歩けないはずの夫は、杖を傘のように腕にかけて杖なしで走って戻って来るところでした。夫と目が合った私は思わず笑ってしまいましたが、夫は反対にびっくりした様子でドギマギしていました。
休憩後に尋問が続いたので、あなた今歩いていましたね?と言ったところ、夫は無言で下を向いていました。これは、そこまでやるの?というエピソードですが、離婚事件では、夫が妻に金銭を渡したくないがために、離婚自体を回避すべく、「今でも変わらず愛している」と言ってきたり、そこまでやるか?という事をやってくることがあります。ここで例に出した夫は、微笑ましいとも言える、分かりやすい例でしたが、色々あるようです。
No | 年月 | タイトル |
1 |
2013年7月 |
離婚事件は専門分野か? |
2 |
2013年7月 |
思い出に残る離婚事件 |
3 |
2013年7月 |
好かれる依頼者 |
4 |
2013年7月 | 医療訴訟で知り合った医師の先生 |
5 |
2013年7月 |
先生の専門分野は何ですか? |
6 |
2013年7月 |
医師の先生が羨ましい? |
7 | 2022年4月 | 事務所開設10周年 |
8 | 2022年6月 | パワハラ防止法の完全施行について |
9 | 2022年8月 | 民事裁判のIT化の現状 |
10 | 2022年12月 | 民事裁判のIT化と和解 |
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